校友会理事 大阪公立大学大学院獣医学研究科・教授 三宅眞実
このリレーコラム執筆にあたり諸先輩がたの過去のコラムを拝見すると、大阪出身の方が多いことに気がつきます。私も大阪は船場生まれの船場育ち、就職とともに大阪を離れましたが40歳を過ぎて帰阪して、現在も大阪市内を離れられずにいます。運動のため20年ほど前から自転車に乗り始め、週末には大阪市内をポタリング(自転車でゆるゆると散歩すること)したり、時間のある時は琵琶湖や丹後まで輪行して楽しんでいるのですが、ここ2年ほど自分の足で歩くことの大切さに気がついて、2週間に一度は大阪市内をフラフラと歩きまわって気分転換をしています。
これを始めて気がついたのは、自転車の速さでは気が付かない風景に出会えること。こんなところにこんなお店があったのかとか、こんな場所にこんな旧跡があるのかと、新たな発見をするのが楽しくて、気がつくと10キロ20キロ歩いてしまっていたということがザラにあります。
大川沿いを中之島まで歩き、道修町、備後町界隈の古いビルディングを愛でながら南下して、四天王寺を経て大阪城へ。さらに北へ上がって毛馬の閘門で一息ついたあとは、梅田に出てビールをいっぱい飲んで帰宅する。時には大阪湾まで足を伸ばし、今も残る渡し船をハシゴするもまた趣ぶかしです。小さな橋や街角のモニュメントに説明文がつけられていて、大阪生まれの私でも知らなかった街の成り立ちのストーリーに出会い、驚いたり感心したり。意外なのは最近、多くの外国人観光客が私と同じように市内で街歩きをしていて、古い建物や上町台地の坂を活かした街並みを楽しんでいること。毎日のように大阪城公園で過ごした私の高校生の頃は、こんなに街に外国人がいる風景は想像できませんでした。
心を真っ白にして無心で歩くせいか、机に齧り付いていては思いつかないような新たな発想に辿り着くことも多々あります。週末の早朝2、3時間、運動と街並みと発想の転換を励みに、これからもどんどん街並み散歩を楽しもうと思います。さて、写真は大阪市内で撮ったもの、皆さんはどこの場所かわかりますか?