医学部医学科6年生 明浦 海斗
時の流れというものは早いもので、気がつくと大学生活も残り数ヶ月というところまできていた。ようやく大学生になれたと思ったのがつい昨日のように感じられる。リレーコラムという新企画で、とりあえず私の人生の振り返りとこれからの展望について書いてみることとした。拙筆ながら拝読いただけると幸いである。
私の家族に医師はいなかった。それどころか医療職さえおらず、それでも医学部入学を目指したのは、幼少期に見たドラマに登場した外科医がかっこよく見えたとかその程度の理由であったと思う。
一年の浪人生活を挟んでしまったものの、無事に大阪市立大学医学部に入学した。大学では軽音楽部に入り、それなりに充実した生活を送っていたと思う。5年次からの臨床実習では自分よりずっと年上の患者様たちとも交流を持ち、まもなく自分も医師として働くのだということに戦慄しながらも、がむしゃらに目の前の課題に取り組んできた。
そして今、私は医師国家試験を前にしている。入学前に漠然と想像していた外科医としてのキャリアも、なんとなくではあるが現実的に捉えられてきた。研修医を目前にした今、私は医師という職業の責任の重さに改めて恐怖を感じる。つい先日も研修医の誤診報道があった通り、判断のミスで取り返しのつかないことになりうるのである。近い将来、自分は医師としてどのような気持ちで、どのようなことをして、毎日を過ごしているのだろう。